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光学設計エンジニアのための
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2025.05.05
光学レンズ設計の基礎:光学フィルタの役割と種類
私たちの身の回りには、カメラ、顕微鏡、医療機器、分析機器など、さまざまな光学技術が活用されています。これらの機器の心臓部とも言えるのが光学レンズであり、その性能を最大限に引き出すために欠かせない要素の一つが「光学フィルタ」です。
光学フィルタの主な役割
光学フィルタは、光学システムにおいて主に下記の役割を果たします。
特定波長の抽出
自然光や照明光には、さまざまな波長の光が含まれています。光学フィルタを使用することで、特定の波長域の不要な光を除去し、必要な波長の光だけを透過させることが可能です。
光量調整
光学フィルタの中には、特定の波長域だけでなく、光の強度そのものを減衰させるものもあります。例えば、強い光からセンサーや目を保護したり、適切な露光量を得るためにカメラのレンズに取り付けられたりします。ND(Neutral Density)フィルタなどがその代表例です。
偏光の抽出
特定の偏光の抽出を行います。偏光グラスがその代表例です。
保護
レンズの表面を物理的な衝撃や汚れから保護する役割も担います。透明な保護フィルタは、高価なレンズを長く安全に使用するために重要な役割を果たします。
光学フィルタの機能別種類
光学フィルタは、その機能によって様々な種類が存在します。ここでは、代表的な光学フィルタの種類をご紹介します。
波長選択透過フィルタ
特定の波長域の光を透過させ、それ以外の波長域の光を吸収または反射させるフィルタです。波長選択透過フィルタには、吸収フィルタや干渉フィルタなどが含まれます。
- バンドパスフィルタ: 特定の狭い波長域の光のみを透過させます。蛍光観察やレーザー光の選択などに用いられます。
- ロングパスフィルタ: ある特定の波長よりも長い波長の光を透過させます。例えば、可視光を通し、紫外線をカットするフィルタなどがあります。
- ショートパスフィルタ: ある特定の波長よりも短い波長の光を透過させます。例えば、紫外線を透過させ、可視光をカットするフィルタなどがあります。
- カラーフィルタ: 特定の色(波長域)の光を透過させます。写真撮影や照明などに用いられます。
NDフィルタ(ニュートラルデンシティフィルタ)
光を波長によらず均等に減衰させるフィルタです。光量を調整するために用いられます。
偏光フィルタ
特定の偏光方向の光のみを透過させるフィルタです。円偏光フィルタと直線偏光フィルタがあります。代表的な例としては、偏光グラス(直線偏光フィルタ)が挙げられます。
光学設計のことなら、光学レンズ設計.comにご相談ください
いかがでしたでしょうか。今回は、光学フィルタの役割と種類についてご紹介しました。
光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。
単レンズからレンズユニットまで設計が可能ですので、光学レンズの開発設計でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
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