2025.07.21

光学レンズ設計の基礎:プラスチックレンズとガラスレンズの違い

光学設計に興味をお持ちの皆さん、レンズがどのように機能するかご存知でしょうか?私達の身の回りには、カメラやスマートフォン、顕微鏡など、さまざまな光学機器が存在します。これらの機器の性能を左右する重要な要素の一つがレンズです。レンズには大きく分けてプラスチックレンズガラスレンズの2種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。この記事では、光学設計の基礎として、これら2種類のレンズの違いについて詳しく解説します。どちらのレンズがどのような用途に適しているのか、その特徴とメリット・デメリットを理解することで、光学設計への理解を深めていきましょう。

プラスチックレンズとは?

プラスチックレンズは、その名の通りプラスチック素材で作られたレンズです。例えば、スマートフォンのカメラレンズ、自動車のヘッドライトのレンズなどにも使われています。

プラスチックレンズの最大のメリットは、①生産性に優れている点②形状の自由度が高い点③重量が小さい点 です。自由な形状を生産しやすく、複雑な非球面レンズなども比較的容易に大量生産できるため、ガラスレンズと比較すると生産コストが低いです。

一方で、デメリットとしては、①熱に弱い点②表面が傷つきやすい点 が挙げられます。高温環境下では変形する可能性があり、硬度が低いため、取り扱いには注意が必要です。また、ガラスレンズに比べて光学的な性質、特に屈折率や分散のバリエーションが限られる場合があります。

ガラスレンズとは?

ガラスレンズは、古くから光学機器に用いられてきた伝統的なレンズです。カメラの高級レンズや望遠鏡、顕微鏡など、高い光学性能が求められる分野で多く採用されています。

ガラスレンズのメリットは、なんといってもその優れた信頼性にあります。環境による性能変化が非常に少なく、表面硬度が高いため傷つきにくいです。

プラスチックレンズに比べて、幅広い種類のガラス素材が存在し、それぞれ異なる屈折率や分散(光の波長による屈折率の違い)を持つため、色収差を効果的に補正し、シャープで正確な画像を得ることができます。

デメリットとしては、①生産性が低い②重量が大きい点③割れやすい点 が挙げられます。ガラスレンズは、プラスチックレンズとは製法が大きく異なり、大量生産に向いておらず、製造コストが高くなる傾向があります。

プラスチックレンズとガラスレンズの違い

プラスチックレンズとガラスレンズの主な違いを以下の表にまとめました。

特徴プラスチックレンズガラスレンズ
素材アクリル、ポリカーボネートなど石英ガラスなど
重量小さい大きい
耐衝撃性割れにくい・欠けにくい割れやすい・欠けやすい
耐熱性低い(変形しやすい)高い(変形しにくい)
加工性自由な形状を実現しやすい形状に制約がある
設計の自由度高い低い
コスト大量生産できるため、比較的低い大量生産に不向きなため、高い
用途例スマホカメラ、車載ヘッドライト高級カメラ、望遠鏡、顕微鏡

光学設計なら、光学レンズ設計.comまで

いかがでしたでしょうか。今回は、プラスチックレンズとガラスレンズの違いについてご紹介しました。

光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。

単レンズからレンズユニットまで設計が可能ですので、光学レンズの開発設計でお困りの場合はお気軽にご相談ください。

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