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2025.08.26
光学レンズ設計の基礎:光学シミュレーション
光学レンズの設計において、光学シミュレーションは欠かせないツールです。当記事では、光学シミュレーションの重要性とその主な種類についてご紹介します。
光学シミュレーションとは?
光学シミュレーションとは、その名の通り、光の挙動をシミュレーションする技術です。具体的には、特定の光源やレンズなどの光学部品を用いた際に、光がどのように振る舞うかを予測・解析します。これにより、実際のレンズを試作する前にシミュレーションツール上で光の挙動を再現できるため、光学系の設計精度を高め、開発期間の短縮とコスト削減を実現します。
光学シミュレーションの主な種類
この光学シミュレーションは主に下記の2種類が活用されています。
①幾何光学シミュレーション
幾何光学シミュレーションは、光をまっすぐ進む「光線」として扱い、光の反射や屈折といった現象を解析する手法です。比較的シンプルな計算で広範囲の光線を追跡できるため、レンズの結像性能や収差の評価に広く用いられます。
シミュレーション対象
〇反射
光が異なる媒質の境界面で跳ね返る現象です。面の法線に対しての入射角と、面の法線に対する反射角は同じ角度となります。幾何光学シミュレーションでは、このような鏡やプリズムでの光線の反射をシミュレーションできます。
〇屈折
光が異なる媒質に入射する際に、その進行方向が変わる現象です。レンズが光を曲げて像を結ぶのはこの屈折の原理を利用しています。幾何光学シミュレーションでは、光線が各レンズ面でどのように屈折するかシミュレーションできます。
②波動光学シミュレーション
波動光学シミュレーションは、光を電磁波(波)として捉え、光の波動的な性質が顕著に現れる現象を解析する手法です。幾何光学では扱えない、干渉、回折といった現象の解析に用いられます。具体的には、薄膜による反射防止コーティングや、ホログラム、光学フィルターの設計など、波の位相が重要となる場面で波動光学シミュレーションが活用されます。
また、波動光学的MTFの計算や回折の影響を考慮した点像強度分布の計算等、光学系の性能評価シミュレーションにも利用されています。
シミュレーション対象
〇干渉
複数の光波が重なり合うことで、互いに強め合ったり弱め合ったりする現象です。例えば、干渉フィルターは、この光の干渉を利用して、短い光を反射し長い光は透過するなど、透過率の波長依存性を応用しています。
〇回折
光が障害物の縁や小さな開口部を通る際に、その進行方向がわずかに曲がり、広がっていく現象です。例えば、回折格子はこの光の回折を利用して、各格子を通過した光を円筒面状に広げ、各々の円筒面状の光が干渉することにより、入射光を進行方向が異なる複数の光(回折光)に分割することができます。
光学設計なら、光学レンズ設計.comまで
いかがでしたでしょうか。今回は、光学シミュレーションについてご紹介しました。
光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。
単レンズからレンズユニットまで設計が可能ですので、光学レンズの開発設計でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
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