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2025.11.16
光学設計の基礎:屈折率と焦点距離の関係
光学設計における屈折率と焦点距離は、レンズの性能を決定する最も重要な要素です。この2つの関係を理解することは、レンズ設計の基礎となります。
屈折率とは?
屈折率 (n)は、光が特定の物質中をどれだけゆっくりと進むかを示す物理量です。具体的には、真空中での光の速さ (c)を、その物質中での光の速さ (v)で割った値で定義されます。
n=v/c
- 屈折率が高い物質では、光の速度は遅くなります。レンズの場合、空気中から高屈折ガラスへ界面に斜めに入射する光線は、大きく曲がります。
- 屈折率が低い物質では、光の速度は速くなります。レンズの場合、空気中から低屈折ガラスへ界面に斜めに入射する光線は、あまり曲がりません。
この屈折率の差を利用して、光の進む方向を制御するのがレンズの役割です。屈折率が高い素材ほど、より薄いレンズで光を大きく曲げることができます。
焦点距離とは?
焦点距離 (f)は、レンズの中心から焦点までの距離を指します。焦点とは、光軸に平行に入射した光線が、レンズを通過した後に集まる(または発散して見える)点のことです。
- 凸レンズ:焦点距離は正の値で、平行光を一点に集める働きをします。
- 凹レンズ:焦点距離は負の値で、平行光を広げる(発散させる)働きをします。
レンズの焦点距離は、そのレンズの「光を曲げる強さ」を示します。焦点距離が短いほど、光を強く曲がります。
屈折率と焦点距離の関係
屈折率と焦点距離は密接な関係にあります。
薄い球面レンズの公式

- f: 焦点距離
- n: レンズ素材の屈折率
- R1: レンズの第一面の曲率半径
- R2: レンズの第二面の曲率半径
この公式は、レンズの厚さが曲率半径に比べて非常に小さい場合に適用されます。現実のレンズ設計では、より複雑な式やシミュレーションが用いられますが、この公式はレンズの基本的な特性を理解する上で非常に重要です。
このように、光学設計では、目的の焦点距離やレンズの厚み、形状に応じて、最適な屈折率を持つガラスやプラスチック素材が選択されます。
厚肉レンズの公式

- f:焦点距離
- n:レンズの材質の屈折率
- R1:入射側の面の曲率半径
- R2:出射側の面の曲率半径
- d:レンズの中心の厚さ
厚いレンズの公式は、レンズの厚さが焦点距離に与える影響を正確に反映させるために、2回の屈折を考慮し、焦点距離を定義する、より厳密な式です。この厚さ d に関係する項が、薄いレンズと厚いレンズの式の違いを生み出す理由です。
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いかがでしたでしょうか。今回は、屈折率と焦点距離の関係についてご紹介しました。
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