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2025.11.17
光学設計の基礎:光学部品のコーティングの種類とは?
光学設計における光学コーティングについて詳しくご存じですか?実は、この光学コーティングは、レンズの性能を左右する非常に重要な要素です。当記事では、そんな光学コーティングについて詳しく解説します。
光学部品のコーティングとは?
光学コーティングとは、レンズやミラーなど光学部品の表面に薄い膜を形成し、光の反射・透過・吸収などの特性を制御する技術です。
光学コーティングの主要な種類
ここから、実際の光学製品でよく使用されるコーティングの特徴を紹介します。
①ARコート(反射防止コーティング)
特徴
ARコートは、表面反射を低減し透過率を向上させるコーティングです。ゴーストやフレアの発生を抑制することも可能です。
主な用途
カメラレンズ、イメージセンサー用光学窓、測定機器レンズ、医療用光学系など幅広い光学部品で使用されます。
②ミラーコート(高反射コーティング)
特徴
特定波長の反射率を高めるためのコーティングです。金属膜や誘電体膜で構成されています。金属膜は、誘電体膜と比較し広帯域での反射が可能です。誘電体膜は、金属膜と比較し帯域は小さいですが、高反射で吸収が小さいです。
主な用途
レーザー光学系、分光機器などの反射ミラーやビームスプリッタなどで多く採用されています。
③NDフィルタコート(減光コーティング)
特徴
異なる波長に対しても、光量を均一に低減させるコーティングで、ND2、ND4、ND8など濃度に応じて透過率を調整できます。
主な用途
カメラの露光調整、センサーの受光量調整などに使用されます。
④バンドパス/ロングパス/ショートパスフィルタ
特徴
特定の波長帯のみを透過する光学フィルタで、多層膜により高い波長選択性を実現します。
・バンドパス:特定の波長帯のみだけ透過させます。(例:500nm~550nmのみ透過)
・ロングパス:特定以上の波長帯を透過させます。(例:550nm以上のみ透過)
・ショートパスフィルタ:特定以下の波長帯を透過させます。(例:550nm以下のみ透過)
主な用途
分光分析装置、医療カメラ、FAカメラ、画像検査装置などの不要光の除去で広く利用されています。
⑤IRカットフィルタ(赤外線カットフィルタ)
特徴
赤外線成分を遮断し、色再現性を向上させるコーティングです。
主な用途
スマートフォンカメラ、監視カメラ、車載カメラ、画像検査用カメラなどをはじめとするカメラ用途で主に使用されています。
⑥ハードコート(耐擦傷・耐環境性コーティング)
特徴
傷からレンズ表面を保護するためのコーティングです。特に柔らかいプラスチックレンズで重要になります。
主な用途
樹脂レンズ(眼鏡レンズ、カメラのドームカバー)などで利用されます。
光学設計なら、光学レンズ設計.comまで
いかがでしたでしょうか。今回は、光学コーティングの種類についてご紹介しました。
光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。
単レンズからレンズユニットまで設計が可能ですので、光学レンズの開発設計でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
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