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2026.02.24
光学設計の基礎:干渉と回折の違い
光学設計における「干渉」と「回折」は、どちらも光が波として振る舞うことで起こる現象です。一見似ているように感じられますが、レンズ設計の現場では、これらを明確に区別して制御することが求められます。本記事では、プロの光学設計者の視点から、干渉と回折の定義の違い、それぞれの発生メカニズム、そして実際の製品設計においてこれらがどのような役割を果たしているのかを詳しく解説します。
光学設計における「干渉」と「回折」の基本概念
光学設計において、光を「粒子」ではなく「波(波動)」として捉える際、避けて通れないのが干渉と回折です。これらは幾何光学(光線追跡)では説明できない、波動光学特有の現象です。
干渉とは
干渉とは、複数の光の波が重なり合ったときに、波の位相(タイミング)によって強め合ったり、打ち消し合ったりする現象を指します。
- 強め合う干渉(同位相): 山と山、谷と谷が重なり、光が明るくなる。
- 弱め合う干渉(逆位相): 山と谷が重なり、光が暗くなる。
回折とは
回折とは、光が進行中に障害物の縁を通ったり、狭い隙間(スリット)を通過したりする際に、障害物の背後に回り込むように広がっていく現象を指します。
光が直進する性質に反して、本来は影になるはずの部分にまで光が入り込むのが特徴です。波長が長いほど、回折の影響は顕著になります。
光学設計での干渉と回折の活用と影響
これら2つの現象は、実際の光学系設計において、メリットとしてもデメリットとしても現れます。
1. 干渉の活用と影響
光学設計において、干渉は主に「コントロールして利用するもの」です。
例えば、カメラレンズに施されるARコート(反射防止膜)は、レンズ表面で反射する光と、コーティング層の底面で反射する光を、意図的に「逆位相」にして干渉させ、反射光を打ち消しています。 また、レンズの面精度をナノメートル単位で測定する干渉計も、基準となる光と測定対象からの光を干渉させ、その縞模様を解析することで目に見えない歪みを可視化しています。
ただし、光学的に悪影響を及ぼすこともあります。
例えば、レンズユニットの構造上の問題により、多重反射が発生すると干渉により意図しない干渉縞が見えてしまうなどの問題が挙げられます。
2. 回折の活用と影響
回折という現象も、「コントロールして利用する」ことがあります。
その代表例が回折格子です。単色光の場合、1方向の光を進む方向が違う複数の光に分岐することができます。白色光の場合、1方向の光を進む方向が違う複数の光に分岐した上で、波長(色)ごとに進む方向が変わります。
ただし、回折という現象は光学設計へ制約を与えることもあります。
その代表例が回折限界です。レンズがどれだけ幾何光学的に無収差に設計されていても、光がレンズの有効径(絞り)を通過する際に必ず回折が発生します。これにより、理想的な一点に光が集まらず、エアリーディスクと呼ばれる微小な広がりを持ちます。よって、回折限界以下の細かな線を分解できません。
光学設計なら、光学レンズ設計.comまで
いかがでしたでしょうか。今回は、光学設計における干渉と回折の違いについてご紹介しました。
光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。
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