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2025.02.24
光学設計の基礎:球面レンズと非球面レンズ
光学設計は、カメラやプロジェクター、顕微鏡、照明装置など様々な機器で重要な役割を果たしています。高性能で効率的な光学系を構築する上で確実に必要とされる設計技術です。当記事では、光学設計の基礎と題しまして、球面レンズと非球面レンズの種類と役割について、ご紹介します。
光学設計とは?
光学設計とは、レンズや鏡などを組み合わせて光学系を構築し、特定の目的を達成するための技術です。この技術では、レンズの形状、厚み、間隔、材質、絞りの位置や大きさなどの設計要素を最適化して、目標とする機能を実現します。
レンズの種類と役割
レンズには、以下のような種類があります。
①両凸レンズ
両側が凸面になっているレンズ。光を集光させる働きがあります。
②平凸レンズ
片側が凸面、もう片側が平面になっているレンズ。光を集光させる働きがあります。
③凸メニスカスレンズ
片側が凸面で、もう片側の凹面。光を集光させる役割を果たすレンズを指します。
④両凹レンズ
両側が凹面になっているレンズ。光を発散させる働きがあります。
⑤平凹レンズ
片側が凹面、もう片側が平面になっているレンズ。光を発散させる働きがあります。
⑥凹メニスカスレンズ
片側が凹面で、もう片側の凸面。光を発散させる働きがあるレンズを指します。
球面レンズ非球面レンズの違い
球面レンズは、レンズの片側、もしくは両側が球面で構成されているレンズです。
球面レンズを使用する場合、球面収差が生じてしまいます。球面収差とは、レンズの中央部を通る光線と外周部を通る光線で、焦点を結ぶ位置がずれる現象です。
この収差が、結像性能や集光性能に悪影響を及ぼします。球面レンズによる収差を抑えるために、複数枚の球面レンズを組み合わせて使用する方法がとられますが、レンズ枚数が増えることで、光学系のサイズや重量が大きくなってしまいます。
非球面レンズは、球面ではない曲面を持つレンズであり、上記の球面収差を抑えることができるため、球面レンズを使用する枚数を減らして、光学系の小型化、軽量化を実現できます。
非球面レンズは、球面レンズに比べて加工が難しく、高価になる傾向があります。しかし、近年では、非球面レンズの加工技術が進歩し、製造コストの低下が進んでいます。
プラスチックの非球面レンズの使用によるメリット
プラスチックの非球面レンズを使うことのメリットは、以下の点が挙げられます。
- 球面収差が小さい:非球面レンズは、球面レンズに比べて収差が小さいため、光を小さな点に集光することができます。
- 小型化・コンパクト化:組レンズの場合は、収差補正が容易になるため、レンズの枚数を減らすことが可能です。その結果、小型化やコンパクト化を実現できます。
- コスト削減: レンズ枚数が減ることで、製造コストや組立コストを削減できる可能性があります。
レンズ設計なら、光学レンズ設計.comまで
いかがでしたでしょうか。今回は、球面レンズと非球面レンズについてご紹介しました。
光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。
単レンズからレンズユニットまで設計が可能ですので、光学レンズの開発設計でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
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