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2025.04.13
光学設計の基礎:ミラーとビームスプリッタの違いと種類
光学設計において、ミラーとビームスプリッタは光の進路を制御し、目的とする光学系を実現するための不可欠な要素です。これらの光学素子は、カメラ、顕微鏡、望遠鏡などの光学機器から、レーザー加工機、医療機器、計測機器といった産業用機器まで、幅広い分野で利用されています。本記事では、ミラーとビームスプリッタの基本的な役割、種類、違い、そして応用例について解説します。
ミラーの役割と種類
ミラーの基本的な役割
ミラーは、光を反射させることで光の進路を変える光学素子です。光を特定の方向に反射させたり、集光・発散させたりする役割を持ちます。
ミラーの種類
ミラーは、形状と機能によっていくつかの種類に分類されます。
形状的な種類
- 平面ミラー: 平らな反射面を持つ最も基本的なミラー。光をそのまま反射させるために使用されます。
- 球面ミラー: 球面の一部を切り出したような形状のミラー。凹面鏡と凸面鏡があり、それぞれ集光と発散の機能があります。
- 放物面ミラー: 放物線の断面形状を持つミラー。光を一点に集光したり、平行光に変換したりするのに優れています。
- 楕円面ミラー: 楕円の断面形状を持つミラー。一方の焦点から出た光を反射させ、もう一方の焦点に集光させることが可能です。
- 非球面ミラー: 球面ではない複雑な曲面を持つミラー。球面収差を補正し、より高性能な光学系を実現できます。
機能的な種類
- 全反射ミラー: 入射した光をほぼ100%反射するミラー。光のロスを最小限に抑えたい場合に用いられます。
- ハーフミラー: 入射した光の一部を反射し、残りを透過させるミラー。光路を分割したり、複数の光を合成したりするのに使用されます。
ビームスプリッタの役割と種類
ビームスプリッタの基本的な役割
ビームスプリッタは、入射した光を透過光と反射光に分割する光学素子です。一般的にハーフミラーとも呼ばれます。
ビームスプリッタの種類
ビームスプリッタも、形状と機能によっていくつかの種類に分類されます。
形状的な種類
- プレート型ビームスプリッタ:薄い平板ガラス基板の表面に、所望のR/T特性(反射/透過特性)を得るための薄膜をコーティング。
- キューブ型ビームスプリッタ:2つの直角プリズムを接合した構造。接合面に薄膜がコーティングされている。
機能的な種類
- 偏光ビームスプリッター: 入射光を偏光状態によって分割するビームスプリッタ。
- 無偏光ビームスプリッター: 入射光の偏光状態に関係なく、光を均等に分割するビームスプリッタ。
- ダイクロイックビームスプリッター: 特定の波長域の光を反射し、それ以外の波長域の光を透過させるビームスプリッタ。
光学設計なら、光学レンズ設計.comまで
いかがでしたでしょうか。今回は、ミラー・ビームスプリッタについてご紹介しました。
光学レンズ設計.comを運営するジュラロン工業株式会社では、光学レンズの設計はもちろん、金型製作・成形から組立まで一貫して対応しています。この一貫対応体制により、それぞれの工程で発生する誤差の傾向を把握しながら光学設計を行うなど、光学的な機能のみならず、生産性までもを考慮した光学設計を行うことが可能です。
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