2024.09.17
製品設計に着目したレンズ設計における注意点
レンズ設計は、光学設計と製品設計に大別することが可能です。これらの領域は相互に関連します。そのため、製品設計の内容によって、光学設計に制約が発生します。そのため、光学設計を考慮した上で、製品設計を行う…
LEDレンズはもちろん、特殊分野に使用されるレンズの設計には細部までこだわる必要があります。弊社ではレンズ単体の精度の高さはもちろん、他部品と組み合わせたユニットとしても要求される性能が維持できるよう、まずはお客様のご相談・ご要望をお聞きするためのお打ち合わせの場を設けております。
下記に、ご相談から納品までの一例をご紹介いたします。ご相談内容によって最適な進め方をご提案させていただきますので、必ずしも下記の通りになるとは限りませんが、レンズ製作に携わるのが全く初めての方でも、おおまかなイメージを持っていただければ幸いです。
まず、どのような光学レンズを実現したいかをお聞かせください。既に詳細の仕様書などがある場合は、そちらをご提供ください。
そのようなものがない場合でも、どのように使うことを想定しているか(撮像系/照明系/センサー・信号系)、光源(メーカー/型番・配光特性・発光部大きさなど)、レンズ(大きさの制約・材料・焦点距離・NA・有効径など)、レンズの配置範囲、照射面(位置・大きさ・光量分布など)等の制約条件のほか、分かる範囲でまず情報をご連絡ください。もし不足している情報があっても打合せなどを通じてヒアリングさせて頂きます。
光学レンズの仕様・ご要望をヒアリングをさせて頂いた結果、光学的に実現できない、高コストになる、コスト・歩留まり・生産性を考えたときに製品化が困難という判断となった場合は、スペックやコストなどの優先順位をお聞きしながら検討させて頂きます。
その後、当社からは構想案を提示させて頂きます。それを元にお客様からフィードバックの情報を頂く中で、お客様の思いを理解し、実現可能な光学レンズの構想を共有し、形作っていきます。
光学レンズの構想案が固まりましたら、概略設計をスタートさせます。概略設計では、性能シミュレーションなどを使った光学設計やシステム構想図の作成を行います。さらに概略設計を進める中で出てきた課題に対して、お客様が求めるスペックを実現するための対策を立案いたします。
なおこの概略設計の段階まで進むと、光学レンズの開発におけるコストや製品コストの概略についてもご提示することが可能です。
概略設計において検討した情報をもとに、全体構成、光学レンズの性能、そしてコストをご提示致しますので、要求事項などをフィードバック頂きます。これらを元にお客様と打合せを行わせて頂き、求められる光学レンズの仕様をすり合わせていきます。
概略設計でご提示する内容をもとに、撮像系レンズについては主に画角・解像度(撮像素子選定、サイズ)・Fno.など、照明系レンズにおいては主に照度分布(均一性、要望分布形状)・明るさ(光源選定、効率目標)・製品サイズ/形状などのスペックを優先順位をお聞かせ頂きながら詳細スペックを決定し、それを反映して光学設計を完成させます。
お客様との詳細スペックのすり合わせが完了したら、次は詳細設計に移ります。詳細設計では、まず公差計算を行い、それぞれのレンズの面形状、厚さ、偏心などについて光学系全体の性能確保に必要な公差を求めます。次に、成形を考慮してそれぞれのレンズ外形形状を設計し、各レンズの公差を満足するように鏡筒設計やホルダ設計を同時並行で行います。
レンズ外形形状の決定後、切削レンズを製作します。ただし、場合によっては切削レンズを製作せずに試作金型を製作します。さらに必要に応じて蒸着を行います。試作金型の耐久性については量産金型と変わりませんので、小ロット製品については量産金型としても対応可能です。
完成したレンズの外径、厚さ寸法に加え、面の形状を測定します。ナノレベルまで測定可能なレーザー顕微鏡、形状測定器、干渉計などの最高精度の測定装置を取り揃え、評価体制を確立しています。また、必要に応じて高温・低温・高温高湿・ヒートショックなどの各種信頼性試験の対応が可能です。
2024.06.14
しかしながら、相手部品との関係でゲート位置を変更することができなかったため、流動解析を駆使しながら、ランナー形状に変更を施しました。これにより、レンズ面へのウェルドを解消しました。
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2024.06.14
そこで当社では、お客様にプリズムの有効範囲を確認させて頂いた上で、金型構造を検討しました。さらに、光学的な影響がない部分にゲートや突き出しピンを設置する製品形状をご提案し、ご採用頂きました。このよう
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2024.05.05
当社からは、ファイバーを挿入しやすいように穴の入り口側にテーパーを追加するよう変更提案を行いました。こうすることで組み立て時の作業性が向上する上、コアピンが抜けないということも回避することが可能です
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2024.03.10
ゲート位置の最適化や金型の温調回路を設定により、ひずみを小さくすることが可能です。この事例では、流動解析時に干渉縞解析・位相差解析を行うことで、最もひずみの小さいゲート位置・温調回路の選定を行いまし
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2024.02.15
当社では、金型を作る前の流動解析に加えて、光学解析(屈折率解析)を行い、対策を講じることも可能です。左記の図は光学的な流動解析を行った様子ですが、ゲート寸法・ランナー径・温調方式など複数のシミュレー
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2024.01.17
当社で光学シミュレーションを行ったところ、フレア・ゴーストが発生している可能性の高い箇所を特定できましたので、その部分を切削加工にて切り落とし形状を調整したところ、問題が解消されました。
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2024.01.17
そこで当社からは、レンズ間距離は保ちつつ、当該レンズの面が凸にならないようツバの高さを高くし、相手方のツバを薄くして、レンズ面がキズつかないよう設計変更をご提案させて頂きました。こうすることで、組レ
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2023.11.19
そこで当社からは、離型性を向上させるため、内径のストレート部に抜き勾配を持たせることをご提案いたしました。通常の射出成型品は最低限の抜き勾配に留めますが、レンズの場合は離型時に歪む可能性があります。
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2023.10.04
そこで当社からはPCからCOC(APEL)へ材質を変更することを提案いたしました。APELに変更すれば射出成型時の流動性は高まり、かつAPELはPCよりも複屈折が小さいので、測定結果の通り、複屈折の
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2023.09.18
そこで、当社にて断面形状から、ツバを設けるなどの切削可能な形状を検討・設計しました。さらに、お客様のご要望から最適な仕様を決定しました。
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2024.09.17
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2024.03.10
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2023.10.17
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2023.07.18
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2023.05.28
ディフューザーレンズとは? 本稿にて解説するディフューザーレンズとは、フライアイレンズやマイクロレンズアレイと同様に複数の微小レンズから成るレンズであり、光源からの光を拡散させる照明用レンズのことを指…
2023.03.22
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